すこし話しをしましょうか

思いついたこと話してみます ご一緒にいかが?

新しい風が吹く

今日一番のニュースは山下昂大氏が来春創部される

早稲田佐賀高校のラグビー部の監督に就任されるというもの

あ~山下キャプテン!

彼ほど「キャプテン」という言葉が似合う人もなかなかいない

私は今でも敬意をもって彼を山下キャプテンと呼んでしまう

それでも来春からは「山下監督」に更新しなくちゃね

彼の指導者としての姿が見られるということも嬉しいし

佐賀の高校ラグビーに新しい風が吹くであろうと思えることも嬉しい

というわけで今日の記念に

過去に書いていたものから山下キャプテンが絡んでいるものを

ふたつ転記しておきたいと思います

 

 

 

ラグビーに教えられること】

    (2008年 1月7日 のブログより転記)

 花園での高校ラグビーが終わった。決勝戦は東福岡と伏見工業。
前半のワクワクから、後半の息もつかせぬ緊張へ・・そして気が
つくといつの間にか涙が出ていた。何も語らなくても伝えられる
ものはあるのだ。次から次へと攻撃を繋げてくるそんな攻めの強い
印象のあった東福岡が、伏見工業にずっと攻め続けられながら、
ひとつの穴もあけられることなく、守りに守ってその強さを見せて
くれた。ほんとうの強さは、いいときにも逆境の時にでも変わらず
にいられるということなのかと思わせられた。もちろん、攻め続けた
伏見工業のその粘り強さにも驚嘆。今までの試合で気付かなかった
両校の強さと素晴らしさを見せてもらったようだった。また、素晴ら
しい戦いのなかで、お互いに成長していたのだとも思う。そんな
色々な意味ですばらしい決勝戦だった。

 

 花園直前に事故でメンバーの一人を失った東福岡。いままで、敢えて
そのことにはあまり触れていなかったけれど、今日監督がお話に
出されたのも印象的だった。

 

 訃報を聞いたその日、私達もまたラグビーの練習のグラウンドに
いた(東福岡ではないけれど)。まだ、情報があやふやだったその日
彼を知っているラガーマンの中学生は「事故に決まってる。彼がラグビー
を捨てるはずがない!」と言いきった。そして、目前にせまっている
花園に出られなかった悔しさ、ずっと続くはずだった未来を失った
無念さを想像するのは難くなかった。

 

 その時、その子が続けて「でも・・もし大けがしてラグビー出来なく
なったら死にたくなるくらい辛いっちゃない?」といったのを周りの
大人数名は聞き流さなかった。
 死にたいくらい辛いのと、死んでしまうのとは全然違うからね!
 もし何かあったとしても絶対早まったらいけないからね
 今はプレイしたいだけだろうけれど、ラグビーに関わることは
 いろんなやり方でどんなことでもできるんだからね
 ラグビーしてるときはラグビーがいちばんだろうけれど、人生には
 ラグビーだけでなくいろんなことがあるんだからね

 

 決勝戦の最後の攻防を見ながら、そんな話をしたことを思い出して
いた。倒されても倒されても攻め続ける子、幾度も向かってくる相手に
ひたむきにひたすらにタックルにいく子、何の欲も、損得勘定もなしに
自分の力すべてをつかって仲間を信じて戦い続ける選手たちを見ていると
もう、どちらが勝つとか負けるとかじゃなく、ただ涙が溢れてきて仕方が
なかった。きっとこの子たちはラグビーをしながら、強烈に生きている
ことを実感しているに違いない。・・そしてノーサイド

 

 たかがラグビー、されどラグビーなどとよく話すけれど、ラグビー
ラグビーでしかないけれど、その中には生きることの様々なものが
詰まっている。現在の社会ではあまり経験できない、ぶつかり合いや
痛みや、身を投げ出す勇気や、我慢や・・そんなものまで詰まっている。
 懸命な彼らのプレイを観ながら、そんなことを考えてしまうのだ。

 

 だからこそ、ラグビーをしている子供達から大人の私の方がいっぱい
のことを教えてもらっているような気がする。そのことに感謝し、大人と
して彼らに、人生だってラグビーと同じで、楽なことばかりじゃない
けれど、その先には素晴らしい充実感が待っている・・と胸をはって
言えるようになりたい・・と思うのだ。

 

 

 

【光と影】

    (2011年 12月25日のブログより転記)

接戦を落とす(藤島大さんの言葉)ことの多かった筑波が
接戦に怖気づくことなく明治を倒した
後半途中からの風が筑波のために吹いているかのような試合の流れ
いや、何度も訪れるチャンスをものにできていないのは筑波もなのだが
そのことを気に病む姿よりドンマイドンマイと励まし合う仲間たちの姿の方が目に入る
歴史をつくっていく若者たちの勢いを感じる
勝利を無邪気に、はしゃいでいると言ってもいいほど喜んでいる彼らが眩しかった

 

昼間のラグビー放映がひとつもなく
午後8時から、午後10時から、午後11時半から・・というJスポーツのプログラム
10時から12時の筑波対明治を観て寝る準備に入るつもりが
じゃあね、おやすみ!といいながら御親切にチャンネルを変えてくれたダンナ様のおかげで赤黒のジャージを見逃せない状況になってしまった
番組終了25時半・・・

 

結果の分かってる試合なんて面白くないけれど
ラグビーだけは特別
観てみなければ本当の試合の面白さは分からない
想像していたことを全く覆されたり、決めつけることを戒められたりすることもあるのだから

 

結果と簡単な経過を知ってみる試合
息もつかせぬ接戦で勝った試合はドキドキが少なくて少し胸が楽
負けたチームがとてつもなくいいプレイをしているのを観るのは切ない
ああ
未来が分かる能力なんて持ってなくてよかった!って思えるほどに

 

勝敗は光と影
どちらもがあるからこそ、その画は際立って美しい
胸を張って笑顔を作って挨拶をしたあと
泣いているチームメイトを何人も片手で抱き寄せて慰めていたキャプテンが
自分の中に溜まってくる想いをこらえきれないように口元を結んで
ロッカールームに入っていく姿が最後に焼きついた

 

 

山下キャプテンは高校時代の仲間の命日には

今も毎年彼を思い出すコメントをどこかに書いています

ここまで生きている中で出会ったものすべてを

胸に抱き背中に背負い、大切に持ち続けているのだと思います

彼が出会う若者が彼からどんなものを受け取るのか

彼が新しい出会いと風の中でどんな姿を見せてくれるのか

それもまた楽しみでひそかに応援しつづけようと思っています